格安SIMに乗り換えたいけれど、「遅くなったらどうしよう」「結局そんなに安くならなかったら嫌だな」と迷っていませんか。家電量販店で通信サービスの提案を担当していたころ、この不安はほぼ全員のお客様から聞かれました。この記事では、公開されている調査データと現場で見てきた実例をもとに、後悔する人としない人が何で分かれるのかを正直にお話しします。
結論:後悔する人は少ない。ただし「4つのタイプ」だけは要注意
株式会社WACARU NETが503名に実施した調査では、格安スマホ(SIM)に乗り換えて「後悔している」「やや後悔している」と答えた人は合わせて6.8%でした。逆に「後悔していない」は80.7%です(調査実施:2022年11月16〜21日、調査結果ページ)。
つまり、大半の人は乗り換えて満足しています。問題は「残りの数%に自分が入るかどうか」です。それは事前に見分けられます。
後悔した人はどれくらい?調査データで見る実態
まず数字を押さえておきましょう。
| 調査項目 | 結果 | 補足 |
|---|---|---|
| 後悔していない | 80.7% | 8割超が満足 |
| 後悔している+やや後悔している | 6.8% | ネガティブ意見は少数 |
| 通信速度・安定性に不満 | 503人中149票 | 不満点としては最多(3割以上) |
| 他人にすすめられる | 90%超 | 「すすめられない」は6.4% |
| 月額料金に満足 | 9割以上 | 満足点の最多は料金 |
出典:株式会社WACARU NET「格安スマホ(SIM)乗り換えの後悔度に関する調査」(503名/2022年11月16〜21日実施)。2026年8月19日確認。
注目したいのは、不満点の回答で最も多かったのが「不満はない」だったという点です。そのうえで不満を挙げた人の中では「通信速度(つながりやすさ)」が最多、次いで「カスタマーサポート」「初期設定が大変」と続きました。
なお、この調査は2022年に実施されたものです。その後、各社の回線品質やオンライン手続きの使いやすさは変わっている部分もあります。傾向をつかむ材料として読んでください。
格安SIMで後悔しやすい4つのポイント
調査で挙がった不満と、現場でお客様から実際に聞いた声はほぼ重なります。順番に見ていきます。
ポイント①:速度は「どの格安SIMか」で全く別物
「速度が遅くなりませんか?」——これは、ほぼ全員のお客様から聞かれる質問でした。現場ではこう説明していました。
「ワイモバイルもUQモバイルも、大手キャリア(SoftBank・au)と全く同じ回線を使っています。電波の基地局も同じです。体感でわかるほどの速度差は、ほとんどの方には出ません」
ただし、正直に補足しておくべきことがあります。サブブランドと、純粋な格安SIMは別物です。IIJmioや日本通信のような純粋な格安SIMは、大手から回線の一部を借りて運営しているため、昼休みや夕方の混雑時間帯に速度が落ちることがあります。
「格安SIMは遅い」という口コミの多くは、この純粋な格安SIMの話です。サブブランドと一緒くたにすると判断を誤ります。
ポイント②:通話が多い人は「かけ放題の対象範囲」を必ず見る
調査には出てきませんが、現場で後悔につながりやすかったのが通話です。判断の目安はシンプルです。
| 月の通話時間 | 判断 |
|---|---|
| 合計20分以上 | かけ放題(5分・10分・無制限)を検討 |
| 合計20分未満 | 30秒22円の従量制で十分 |
| 0570(ナビダイアル)によく電話する | かけ放題は対象外。加入しても効果なし |
見落とされがちなのがナビダイアルです。
「かけ放題オプションは月の通話が20分を超えるなら元が取れます。ただし0570から始まるナビダイアルへの通話はかけ放題の対象外です。問い合わせや予約でよく電話する方は事前確認が必要です」
保険会社や病院の予約センター、自治体の窓口は0570番号が多くあります。ここをよく使う方が「かけ放題に入ったのに通話料が下がらない」と感じるのは、当然といえば当然なのです。
ポイント③:サポートを店頭で受けたい人は慎重に
調査で不満の2位・3位が「カスタマーサポート」「初期設定が大変」でした。格安SIMは手続きがオンライン中心のため、店頭で店員に頼めることを前提にしている方には負担になります。
スマホの操作に不安がある方、家族の分もまとめて管理する方は、店舗があるブランドを選ぶだけで後悔の確率がぐっと下がります。
ポイント④:「思ったほど安くならない」の正体はセット割
これが一番多い誤算です。詳しくは次の章でお話しします。
サブブランドと格安SIMは何が違うのか
「格安SIM」とひとことで言っても、中身は大きく2種類に分かれます。
| 比較項目 | サブブランド (ワイモバイル・UQモバイル等) |
純粋な格安SIM (IIJmio・日本通信等) |
|---|---|---|
| 回線の扱い | 大手キャリアと同じ回線・同じ基地局 | 大手から回線の一部を借りて運営 |
| 混雑時間帯の速度 | 親会社と同じ品質帯 | 昼・夕方に落ちることがある |
| 店舗サポート | 店舗があるブランドが多い | オンライン中心 |
| 料金の安さ | 中間 | 最安帯 |
| 向いている人 | 速度・サポート重視、家族利用 | 料金優先、自分で設定できる |
※各社の最新プラン内容・料金は変更される場合があります。申し込み前に公式サイトでご確認ください(2026年8月19日時点の一般的な区分)。
「安さだけ」で純粋な格安SIMを選び、速度で後悔する。これが典型的な失敗パターンです。逆に、速度とサポートを優先してサブブランドを選べば、後悔の主要因はほぼ回避できます。
口コミを見ると「遅い」って書いてる人と「全然変わらない」って書いてる人がいて、どっちが本当なのか分からないんです……。
どちらも本当なんです。使っているのがサブブランドか、純粋な格安SIMかで結果が変わります。口コミを読むときは「その人が何を使っているか」まで見てください。それだけで見え方が変わりますよ。
「思ったほど安くならない」の正体は、セット割と家族割
現場で一番多かった誤算がこれです。スマホ単体の料金だけを比較して乗り換えたら、家全体の支払いはほとんど変わらなかった——というケースです。原因は2つあります。
1つ目は、光回線とのセット割が外れること。大手キャリアのスマホは、同じ系列の光回線とセットで契約すると毎月の割引が入ります。スマホだけ格安SIMに移すと、この割引が消えます。スマホは下がったのに、光回線の実質負担が上がる。差し引きで見ると、思ったほど安くなっていないわけです。
2つ目は、家族割の計算違いです。
「各キャリアの家族割は2回線目以降が割引対象です。代表回線には適用されないため、家族で乗り換える際は代表回線の料金も含めてトータルで計算することが重要です」
「家族全員が安くなる」と思い込んでいるお客様は一定数いました。1回線目には割引が入りません。ここを含めずに試算すると、必ずズレます。
つまり、格安SIMで本当に固定費を下げたいなら、スマホ単体ではなく「スマホ+光回線」の合計で組み替えるのが正解です。スマホを格安SIMにするなら、光回線側もセット割に縛られない条件の良いところへ同時に見直す。これが現場でいちばん確実に効いた方法でした。
| 見直し方 | スマホ代 | 光回線側 | 結果 |
|---|---|---|---|
| スマホだけ格安SIMへ | 下がる | セット割が外れて実質負担が上がる | 合計はあまり変わらないことがある |
| スマホ+光回線を同時に見直す | 下がる | キャッシュバック・割引条件で選び直せる | 合計で下がりやすい |
| 家族の1回線目だけ移す | 下がる | — | 家族割の前提が崩れて逆効果のことも |
著者の現場経験からひとこと:乗り換えを勧めなかったケース
量販店では、条件を聞いたうえで「今回は乗り換えないほうがいいです」とお伝えしたことが何度もあります。代表的なのが次のケースです。
auじぶん銀行で住宅ローンを組んでいる方。
「auをお使いの方には『auじぶん銀行で住宅ローンを組んでいますか?』と必ず確認していました。該当する場合は乗り換えを勧めず、auでの機種変更かプラン変更にとどめていました」
au回線を解約すると、住宅ローンの金利優遇の条件が変わる可能性があります。スマホ代を月に数百円下げるために、住宅ローンの金利が上がっては本末転倒です。レアケースではありますが、確認せずに提案するとクレームにつながります。
ケーブルテレビのインターネットを使っている方。
「ケーブルテレビのWi-Fiをお使いの方は、スマホをau系列(UQモバイル等)にするとセット割が使えるケースがあります。量販店でも光回線に切り替えられない状況では、このセット割を優先して提案していました」
建物の事情で光回線に変えられない住宅もあります。その場合は、いま使っている回線と割引が組める系列を選んだほうが総額は下がります。
こうした条件は、Webの料金比較だけでは絶対に出てきません。乗り換えで後悔する人の多くは、料金表に載っていない自分の事情を計算に入れていなかったというのが、現場での実感です。
結局、乗り換える前に何を確認しておけばいいんでしょうか?
4つだけです。「先月の通話時間」「いま使っている光回線とのセット割の有無」「家族割に何回線入っているか」「銀行や電気などスマホと紐づいた契約がないか」。これを紙に書き出してから比較すると、後悔はほぼ防げます。
あわせて読みたい
よくある質問(FAQ)
Q1. 格安SIMに乗り換えて後悔している人はどれくらいいますか?
株式会社WACARU NETが503名に行った調査では、「後悔している」「やや後悔している」の合計は6.8%でした(2022年11月実施)。「後悔していない」は80.7%です。少数派ではありますが、ゼロではありません。
Q2. 一番多い不満は何ですか?
同じ調査では、不満点の回答で最も多かったのは「不満はない」でした。不満を挙げた人の中では「通信速度(つながりやすさ)」が最多で、通信速度・安定性への不満は503人中149票と3割以上を占めています。次いで「カスタマーサポート」「初期設定が大変」と続きます。
Q3. サブブランドなら速度は落ちませんか?
ワイモバイルやUQモバイルは大手キャリアと同じ回線・同じ基地局を使っているため、体感でわかるほどの差はほとんどの方には出ません。一方、大手から回線の一部を借りて運営している純粋な格安SIMは、混雑時間帯に速度が落ちることがあります。
Q4. スマホを格安SIMにしたら、光回線はそのままでいいですか?
いま光回線とスマホのセット割が入っている場合は、スマホを移すとその割引が外れます。光回線側の条件も同時に見直したほうが、合計では下がりやすくなります。スマホ単体の料金だけで判断しないでください。
Q5. 家族全員で乗り換えたら全員安くなりますか?
家族割は2回線目以降が割引対象で、代表回線には適用されません。代表回線の料金も含めてトータルで計算しないと、想定より安くならないことがあります。
まとめ
格安SIMに乗り換えて後悔した人は6.8%で、8割以上は満足しています。それでも後悔が起きるのは、「速度重視」「通話が多い」「店頭サポートを使いたい」「セット割・家族割を使っている」の4タイプが、自分の条件を計算に入れずに乗り換えたときです。サブブランドと純粋な格安SIMを区別すること、スマホ単体ではなく光回線とセットで組み替えること。この2つを押さえれば、後悔の主な原因はほぼ避けられます。乗り換え前に、通話時間とセット割の有無だけは必ず確認してください。



コメント